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人生という旅を、
クルマとともに。

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好きなときに、行きたい場所へ。
クルマと旅しよう。
ひとりで、ふたりで、みんないっしょに。
きっとドライブの数だけ
新しいストーリーが生まれるはずです。

001


家族をつなぐ、
もうひとつの「ホーム」

Episode 2

かけがえのない
時間と思い出を乗せて。 < 岩田さんファミリー >

西の空がうっすらと茜色に染まってきた。広場で思いっきり遊んだので、お腹はすっかりペコペコ。そろそろお待ちかねのキャンプご飯の時間だ。本日のメニューは北海道グルメの定番ジンギスカン。新鮮なラム肉は八雲町の川合精肉店にて購入済み。野菜もたっぷり仕入れてある。「これで100円だったんですよ」と由希さんが見せてくれた袋モヤシは、ふだん見かけたことのない特大サイズ。道すがら調達した地場の食材を、その日のうちに楽しむことができる。これもまたキャンプ旅ならではの醍醐味だ。

カセット式のガスコンロにジンギスカン鍋をセット。肉と野菜を豪快に投入していく。たちまち食欲をそそる匂いがただよい、お腹の虫の合唱もクライマックスに。「うん、もう焼けたな」。岩田さんのOKが出るやいなや、待ってましたとばかりにみんなの箸が伸びる。ほんのりラムらしい香りをまとった肉。シャキシャキとした野菜の甘み。精肉店で入手した地元限定のタレもよく合う。

「ご飯もありますよー」と由希さんが運んできたのは炊飯ジャー。炊きたてのご飯がうれしい。独立した充電式バッテリーを積んでいるキャンピングカーなら、ふだん使っている調理機器がそのまま使える。テーブルを見わたしても、とりたてて特別なギアは見当たらない。カセットコンロも、炊飯ジャーも、ありふれた家庭用のものだ。「キャンプ旅といっても、いつもの生活の延長ですから。準備も後片づけもラクな方がいいでしょ?」。手間ひまと負担の見きわめ。この割り切りこそがロングトリップの秘訣なのかもしれない。

13回目となる「岩田ファミリー北海道キャンプ旅」だが、子どもたちの成長とともに、そのスタイルも変わってきた。じつはこの日、長女の琴音さんは北海道に到着したばかり。昨日までは高校のダンス部の夏合宿に参加していたとのことで、いったん自宅に戻ってから、ひとり飛行機で北海道へ。数時間前に千歳空港でみんなと合流したのだった。「中学・高校になると、夏休みも部活が中心になりがち。フルで参加するのはなかなか難しくて」。けれども「やっぱりキャンプに行きたい!」という本人の意向もあり、途中参加のプランが組まれることになった。

とはいえ、こういった旅程は初めてではない。一昨年も琴音さんは中学の部活で忙しく、長い休みが取れなかったため、由希さんと後から追いかけることに。まずは岩田さんと小学3年生の一志くんがキャンピングカーで出発。前半は父と息子だけで北海道をまわり、中盤から飛行機でやってきた母と娘、愛犬のモコと合流する形となった。0歳時からキャンプに参加してきた一志くんだが、父親と2人きりの旅は初体験。「人数が少ないからそれぞれの役割が増えるわけです。荷物運びでも、洗い物でも、自分に何ができるかを考えて、自発的に動かないといけない。彼にとってもいい体験になったんじゃないかな」。それに、焚火を囲みながら男同士の話もできたしね、と岩田さんは頬をほころばせる。息子との二人旅の収穫に父はまんざらでもなさそうだ。

食事が終わると、おもむろに焚火の準備がはじまった。「オートリゾート八雲」には、ナラとシラカバの薪が用意されている。岩田さんが選んだのはナラ材。ゆっくりと安定して燃焼するため火もちがよく、焚火にはうってつけの薪だ。「キャンプ旅だと焚火はかならずやりますね。一日のしめくくりというか、火を囲んでとりとめもない話をするのがいいんです」と岩田さんは語る。

小さな火が育ち、やがて太い薪に宿る。焚火台のまわりにみんなが集まってきた。ゆれ動く炎を見つめながら、親密な語り場が生まれる。学校のこと。部活のこと。友達のこと。琴音さんも一志くんも、自分たちの近況やその中で感じたことを、ありのまま素直に話しているようだ。岩田さんも由希さんも、相づちをうちながら、ときにユーモアを交えて応えている。家族だけの静かでゆたかな時間。濃くなった夜闇に火の粉が舞う。薪のはぜる音とふくよかな香り。ときおり訪れる沈黙も心地よい。まるで熾火のようにおだやかで、心に残るひとときだった。

ふと、このフォームはドライブに似ているな、と思う。焚火を囲むときも、車のシートに座っているときも、人は真正面から相対するのではなく、目の前の炎や景色を見ながら言葉を交わす。そうすると、いつもより心がオープンになるような気がする。面と向かって話しにくいことも、あるいはその姿勢でなら打ち明けられるかもしれない。とくに年頃の子どもにとって、家族との会話は照れくさい。そんなわずらわしさを軽減する効能が、焚火やドライブにはあるのではないか 。ほのかな火明かりに照らされた笑顔を眺めつつ、そんなことを考えていた。

翌朝はあいにくの雨模様。岩田さん夫妻はのんびりと撤収作業を進めている。「雨も降ってるし、子どもたちはもう少し寝かせておきます」。ゆうべは遅くまでトランプ遊びに興じていたらしい。そういえば、車窓からは深夜までかすかな光が漏れていた。「いつも寝る前にみんなで何ゲームかするんです。わが家の習慣みたいなものですね」。今日は函館に戻り、お気に入りのレストランと観光地めぐりをする予定とのこと。キャンプでも観光でも一日をめいっぱい遊びつくす。レジャーにおけるキャンピングカーのポテンシャルは無限大だ。

「モーターホーム」という言葉がある。日本ではキャンピングカーと呼ばれているカテゴリーを指す米語だ。「動く家」 まさにキャンピングカーそのものを言い当てている。家族をチームとしてひとつにする「クルマ」。そして、自然なふれあいを共有する「ホーム」。家族をとりまく環境が変わっても、一人ひとりに合わせてスタイルを更新していくことで、「家族の次のカタチ」を模索することができる。岩田ファミリーのキャンプ旅は、みんなの思い出を乗せた「ホーム」とともに、これからも続いていく。

Text : 中村匠秀 / Photo : 谷本裕志

岩田一成(いわた・かずなり)
キャンピングカーライフ研究家

1971年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社勤務を経てフリーランスのフォトライターに。「キャンピングカーの旅」をライフワークとしており、家族と共に800泊以上のキャンプ・車中泊を経験。雑誌・ムック・WEBなどの様々な媒体で、キャンピングカーや旅の楽しさを伝える記事を発信している。公認キャンプインストラクター資格を保有する、大のアウトドア好き。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。公式サイト www.iwata-kazunari.com
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